健康経営への取組み
病院は、24時間、365日多種多様な専門職がチームワークを組み、業務を推進する特殊な職場環境です。良好な職場環境を維持するうえで職員の健康保持・増進がなによりも重要と考え、日々働きやすい病院づくりに取組んでおります。
美心会グループの健康経営について
方針
職員の健康を最重要視し、職員の生産性の向上および法人全体の活性化を図る。
取り組みを外部に広く公開し、社会全体の健康経営への意識向上を図る。
目的
職員の健康増進を最重要視し、その健康管理を経営課題として捉え、数々の試み、並びに改善策を実行することで職員の健康の維持・増進と法人の健全経営と業績向上を目的とする。
体制
黒澤理事長を健康経営推進の最高責任者とし、産業医が長を務め、独立した専任部署である「健康管理室」が統括を行っていく。健康管理室は認定臨床心理カウンセラー(保健師)事務員の2名を専従とし、産業医、精神保健福祉士、理学療法士、管理栄養士、健康運動指導士、キャリアコンサルタントなどの専門職と連携し、職員の健康維持・増進を図っていく。健康経営に関する課題については、経営陣、管理職及び一般職まで広く情報を共有し、法人全体で取り組む体制を構築していく。
健康課題
美心会は職員の二次検査の受診率100%を目指し、二次検査該当者0を目標としています。
定期健康診断受診率 846/846(100.0%)二次検受診率173/173(100.0%)
特定保健指導実施率 36/36(100.0%)
問診票の集計結果:運動習慣者比率846/296(35.0%)
2020年4月より産業医、臨床認定心理カウンセラー(保健師・両立支援コーディネーター)、事務員による健康管理室を設立し、カウンセラーによる職員の健康診断二次検査受診勧奨を強化した結果、対象者全員の受診につながり、受診率100%となりました。
今後の課題
喫煙率、肥満率を下げ、運動習慣者比率を上げる。
睡眠による十分な休養が取れている比率はわずかに改善傾向にありますが、適正体重維持率はピーク時より7ポイント下がり、依然として低い数値となっています。また、喫煙については禁煙外来への受診推奨を周知し、今後も各項目の数値を改善のためのさらなる施策立案・検討を継続していきます。
運動習慣の定着および促進への取り組み
1.対象者へ健康サポートプログラムの実施
スポーツトレーナー・理学療法士・管理栄養士・保健師等の専門職が連携して対象職員の運動習慣をサポートするプログラムを開始しました。
対象者 | 職員健診の結果「二次検査項目あり」「経過観察項目あり」「保健指導対象者」「治療中項目あり」に該当し、産業医が生活習慣に起因すると判断したすべての美心会職員 |
トレーニング内容 | メディカルフィットネス&スパ「ヴァレオプロ」にて各人の体組成や栄養状態を把握。ひとりひとりに適した取組みやすいプログラム(全行程1時間程度)を2ヶ月間実施。 |
参加実績 | 対象408名 参加者94名 参加率23.0% |
2.マラソン大会への参加
職員の健康維持増進と地域の活性化を目的に2003年から参加を始めた「ぐんまマラソン」の参加者数は開始当時の43名から最高101名までに増加しました。新型コロナ感染拡大のため2020年には大会中止、2021年には規模縮小のため4キロ部門が中止となるなどの影響がありましたが、フルマラソン参加者人数に変化はなく、コロナ禍においても前向きに健康増進に取り組む様子が伺えます。
フルマラソン参加者 | 男 | 女 |
2015 | 4 | 1 |
2016 | 10 | 7 |
2017 | 11 | 7 |
2018 | 17 | 5 |
2019 | 18 | 7 |
2020 | 大会中止 | 大会中止 |
2021 | 18 | 7 |
2022 | 18 | 6 |
2023 | 23 | 9 |
【参加者数アップの施策】
- ランニング・ウォーキングアプリによる練習成果の評価
- 参加費用全額法人負担
- マラソン終了後の慰労会開催
- 目標達成者への賞品授与
- フルマラソン美心会設定時間内完走者への ホノルルマラソン招待旅行進呈
3.モニターツアーへの参加
群馬県上野村エナジーツーリズム造成事業 健康森林EASE(イーズ)プログラム モニターツアーに参加しました。(観光庁「地域の健康資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」)
EASE(イーズ)プログラムとは:Encourage Autonomous Self-Enrichment program自主的な自己涵養促進プログラム…「やらなくてはいけないのに、できない」こと(たとえばダイエット、運動、禁煙など)を達成するのに有効なプログラムで、群馬大学大学院保健学研究科 岡研究室で開発しているものです。 今回参加したモニターツアーは、未病やメタボ予備軍など健康づくりに関心のある人に向けた上野村における宿泊型ツーリズムであり、健康的な生活習慣継続のコツを体験しながら学ぶことができました。
体験内容(一部抜粋)
- 群馬大学大学院保健学研究科 岡美智代教授による 自分の健康チェック
- 群馬大学大学院保健学研究科 岡美智代教授による ミニレクチャー
- 森林セラピー
- ヘルシー弁当の喫食とレシピ配布
- ノルディックウォーキング
- マインドフルネス
健康経営の実施による成果
健康経営に取り組むことにより職員のモチベーションアップを図り、医療サービスの質の向上、および下記の通り実績につなげています。
黒沢病院
黒沢病院では脳卒中専門医が24時間365日駐在し、救急隊からの要請にも直接電話対応できるホットライン体制を整え、迅速で適切な治療の実現に努めています。2018年には脳疾患の救急車受入台数は県内で1位(群馬県統合型医療情報システムより)となり、2022年以降4,000台以上の救急車を受入れています。当直勤務者へのサポートとして、管理栄養士によるバランスのとれた夕食・朝食の提供や、当直明けに併設の天然温泉に入浴してリフレッシュできるよう働きやすい環境を整え、実績の向上へつなげています。地域医療を支えるために、多職種が連携して救急車の受入増加に努めています。
高崎健康管理センター
人間ドックの受診者数を2%、健康診断の受診者数を9%上げることを目標に取り組んでいます。2023年度までの年間ご利用者様数推移は下記グラフの通り。人間ドックご利用者様数は2016年度から30,000名を超えており、生産性向上を図りながらご利用者様の増加すなわち収益増加の成果を出しています。 2020年度以降には新型コロナウイルス感染拡大による「受診控え」の影響がありましたが、徹底した感染対策に努めるだけでなく、コロナ禍においても病気の早期発見・適切治療ができるように受診の啓発活動「健康支援教室(講演)」を3月に実施することで、2022年度はコロナ禍以前よりも受診者数が増加しました。
健康支援教室(保健師による無料健康相談) 健康支援教室(講演の様子)
当法人オリジナル検診強化(無償)
- 40歳以上脳検診
- 40歳以上肺CT検査
- 運転業務者SAS検査(睡眠時無呼吸症候群)
- 20代女性子宮がん検診(頚がん、体がん、卵巣がん、HPV)
職員ストレスチェックの受検率・結果
対象者数 | 受検者数 | 受検率 | 高ストレス者率 | |
2017年 | 616 | 591 | 96.0% | 7.6% |
2018年 | 572 | 567 | 99.1% | 12.5% |
2019年 | 589 | 584 | 99.2% | 9.4% |
2020年 | 688 | 682 | 99.1% | 9.0% |
2021年 | 712 | 712 | 100% | 9.6% |
2022年 | 771 | 771 | 100% | 9.0% |
2023年 | 791 | 791 | 100% | 8.5% |
プレゼンティーイズム職員調査
調査内容:出勤はしているものの、健康上の問題によって完全な業務パフォーマンスできているか、について評価(0~100点)
把握方法:自社で独自に定めた全職員アンケート調査内に、WHO-HPQの絶対的プレゼンティーズム(0~100点)を組み入れて測定。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
評価 | 75点 | 75点 | 85点 | 65点 |
測定人数 | 337名 | 323名 | 320名 | 626名 |
回答率 | 47.2% | 41.8% | 39.9% | 77.3% |
アブセンティーイズム
調査内容:心身の不調により会社を欠勤している状態の人数を調査。
把握方法:疾病休業開始後、有給休暇を除き暦30日以上の疾病休業の者の人数。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
人数 | 18名 | 9名 | 15名 | 16名 |
測定人数 | 738名 | 755名 | 788名 | 809名 |
回答率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
ワークエンゲージメント職員調査
調査内容:仕事に対する活力・熱意・没頭について評価(0点~6点)
把握方法:自社で独自に定めた全職員アンケート調査内に、ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度超短縮版3項目を組み入れて測定。3項目のスコア(0=全くない-6=いつも感じる)の平均。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
評価 | 3.5点 | 3.5点 | 3.5点 | 3.03点 |
測定人数 | 337名 | 323名 | 320名 | 626名 |
回答率 | 47.2% | 41.8% | 39.9% | 77.3% |
労働時間の状況(残業時間等)
新型コロナウイルス感染拡大により、諸々の業務量は増加傾向にあるが、ワークシェアリングと業務改善により残業量の増加防止に努めています。
傷病による休職の状況 傷病による年間長期欠勤・休職者数 16名
病気や怪我により働き続けることが困難になった場合に、休暇取得ができる。
産前産後の休暇取得の状況 出産による年間産前産後休暇取得者数 17名
取得率は100%となっている。
育休延長の状況 保育園の待機等による年間育休延長者数 2名
保育園の待機等により在宅育児が必要な場合、育休延長することができる。
法人運営託児所の利用状況 法人運営託児所の年間利用者数 12名
法人運営託児所「とまと」は、法人所属の職員は誰でも利用することができる。
従業員のヘルスリテラシーの状況
全職員参加型の月1回の院内研修会を実施し、予防医療の理解とヘルスリテラシーの向上に努めている。
美心会健康宣言
我々美心会スタッフは医療従事者として、自らの健康管理を徹底し、家庭や地域の健康のために健康活動と情報発信を継続して地域に貢献していきます。
- 私たちは、健康を意識し、医療従事者として 模範となる健康増進活動を積極的に行います。
- 私たちは、健康寿命100歳超えの地域づくりを 目指し、健康情報の発信を続けます。
- 私たちは、健康を支える総合的かつ積極的な 医療事業を展開し、地域に貢献します。
協会けんぽ「生き活き健康事業所」
全国健康保険協会群馬支部による「生き活き健康事業所」プロジェクトに登録をし、職員の健康増進に取り組んでいます。
健康経営の取組みが評価され、2023年8月に「生き活き健康事業所宣言」の優良事業所として表彰されました。
群馬県と協力して両立支援に取り組んでいます
「治療と仕事の両立支援」とは従業員が仕事と治療の両立を図り、安心して働けるように、企業が職場環境の整備に取り組むことです。医療法人社団美心会は、がん、脳卒中、糖尿病などの疾患や、不妊治療・妊娠中への職員へ短時間勤務制度や時間単位の休暇制度など、治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備を進めています。健康管理室にて、産業医及び認定心理カウンセラー(両立支援コーディネーター・保健師)が治療と職業生活への両立支援をおこなっています。「一人ひとりの心のサポートを大切に」をモットーに取り組んでいます。
そして、病気の早期発見・適切治療ができるよう職員へのがん検診受診を積極的に勧めています。地域の健康管理に尽力することはもちろん、職員とその家族がいきいきと働ける環境づくりに取り組んでまいります。
イメージキャラクター ちりょうさ
「群馬県がん対策連携企業」として登録されました。
・がん検診受診率向上宣言企業
・がん患者就労支援宣言企業
「パートナーシップ構築宣言」を公表しています
美心会は、内閣府や中小企業庁などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップの構築を目指します。なお、美心会は今回の宣言にあたり、以下の個別項目を明示しています。
<個別項目>
〇美心会は、保健・医療・福祉・介護の各サービスを連携し地域の皆様が健康で安心して生活できるよう支援してまいります。
〇美心会の健康経営の取り組みを外部に広く公開し、地域企業の健康経営への意識向上を図ってまいります。
「スポーツエールカンパニー2024」に認定
従業員の健康増進のためにスポーツ活動の実施に向けて積極的な取り組みを行っている企業をスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー2024」に認定されました。「スポーツエールカンパニー」(英語名称:Sports Yell Company)は、従業員の健康増進のためにスポーツ活動の支援や促進に向けた積極的な取り組みを実施している企業を、文部科学省スポーツ庁が認定する制度です。認定企業の取り組みを広く周知することで、従業員の健康管理を考え戦略的に取り組んでいる企業の社会的評価の向上を図ることを目的として、2017年度より認定を開始しています。
働きやすい病院評価認定取得
2010年8月にNPO法人 イージェイネットの「働きやすい病院評価」認定を取得して以来、更新を重ね現在も継続をしております。
健康増進への具体的な取り組み
■徹底した健康管理
職員の定期健康診断は当法人の高崎健康管理センターで実施しており、メンタルダウン他生活習慣病が疑われる職員には、保健師、管理栄養士、健康運動指導士、カウンセラーなどの専門職による保健指導やカウンセリングを実施しています。充実した設備と検査により、職員の1人1人の健康を管理しています。
■運動施設の利用勧奨
当院には医療法第42条施設に認定されている運動施設「メディカルフィットネス &ヴァレオプロ」が併設されており、職員とその家族は格安で利用することができます。
■「花」のある職場環境
院内の約120ヶ所に生花が飾られており、患者様のみならず職員にも癒しの効果を与えています。お花は毎朝副理事長の指導のもと職員が当番制で活け替えをしており、この取り組みは開院以来40年間続けられています。
■充実した休暇制度
女性が多い職場ということもあり産休・育休等が取得しやすいように施設基準以上の職員を配置するほか、院内保育園を併設し24時間対応しています。さらに、リフレッシュ休暇、有休休暇も充実し、10日間の連続有給休暇取得が可能となりました。
■永年勤続旅行制度
職員のヘルスケアを目的として、勤続5年、10年、15年、20年、30年の節目で永年勤続旅行を付与しています。
5年勤続 | アジア方面(日本以外)、ハワイ |
10年勤続 | アメリカまたはオセアニア方面 |
15年勤続 | 帝国ホテルグルメの旅 |
20年勤続 | ヨーロッパまたはオセアニア |
30年勤続 | 海外(行き先自由) |
■常駐のカウンセラーを配置
パワハラ・セクハラへの対策として委員会を設置、その他、職員の意欲向上を目的としたモチベーション向上委員会等の設置等により心身共に健康の維持・増進を目指しております。
■多くのイベントを開催
職員の健康増進を目的に、一年を通じて多くのイベントを開催しています。
定例イベント |
新入職員カウンセリング |
美心祭 |
職員旅行 |
高崎まつり |
納涼祭 |
ぐんまマラソン |
誕生日会 |
メンタルヘルス月間 |
ブルークローバーキャンペーン |
インフルエンザ予防ワクチン |
ボウリング大会 |
ラン&ウォーク大会 |
不定期イベント |
認知症サポーター養成講座 |
メンタルヘルスマネジメント研修・資格試験 |
レクリエーション(バスケ、ドッヂボールなど) |
フラワーアレンジメント教室 |