乳がん検診

乳がん検診

乳がん検診

乳がん検診について

現在、日本人女性の9人に1人が乳がんになる時代です。
乳がんは早期発見・適切治療により治りやすいがんのひとつです。
自己検診も必要ですが、定期的に検診を受診し、微細な早期のがんを確実に見つけることが重要です。

日本のがん検診には、市町村などの住民検診に代表される「対策型検診」と、人間ドックなどの「任意型検診」があります。

対策型検診 任意型検診
目的 対象集団全体の死亡率を下げる 個人の死亡リスクを下げる
概要 予防対策として行われる公共的な医療サービス 医療機関・検診機関などが任意で提供する医療サービス
費用 無料。一部、少額を自己負担する検診もある 全額自己負担
検診例 住民検診、職域検診 人間ドック、がんスクリーニング検査

出典:日本医師会

任意型検診(人間ドック・企業検診)

  • マンモグラフィ(左右2方向)または 3Dマンモグラフィ(マンモグラフィ+3D左右1方向)
  • 超音波検査

上記検査項目の単独または併用でお申込みください。
※企業健診の場合、検査項目は各企業によって異なります。

対策型検診(高崎市個別がん検診)・・・40歳以上の方のみ。2年に1度。

マンモグラフィ(左右2方向) ※50歳以上の方は1方向のみです。

※乳がん検診を受けるにあたっての注意事項です。必ずご確認ください。

  1. 現在、乳がん治療中の方は受けられません。
  2. 他の医療機関で定期的に診察や検査を受けている方は、そちらでの診察を優先してください。
  3. 乳房のしこりや乳頭異常分泌などの自覚症状がある方は、外来を受診してください。
  4. マンモグラフィは時間経過に伴う変化をみることが重要ですので、できるだけ同じ医療機関で続けて受けていただくことをお勧めします。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィとは乳房専用のX線検査です。
乳房を圧迫板で挟み伸ばした状態で撮影します。
個人差はありますが、痛みを伴います。痛みが強い場合は担当技師にお伝えください。
検査時間は約5分程度です。
当院ではマンモグラフィは全て女性技師が担当していますのでご安心ください。
※下記項目に該当する方は受けられません※

  • 妊娠中、妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方
  • 豊胸術を受けたことがある方(インプラント挿入)
  • 胸部の手術を受けた方(バイパス手術、ペースメーカー挿入、シャントチューブ、ポート造設)

※脂肪注入やヒアルロン酸注入を受けたことがある方は乳腺外来を受診してください。

マンモグラフィ撮影時の注意点

制汗スプレーや汗拭きシートを使用すると、パウダーが画像に写ってしまうことがあります。検査当日は使用を控えてください。また、使用してしまった場合はよく拭き取ってください。

マンモグラフィ装置

当院では2台のマンモグラフィ装置を導入しています。
GE社製SenoClaireは通常のマンモグラフィ(2D)画像に加え、トモシンセシス(3D)画像を撮影することができます。

トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)

撮影方法は従来のマンモグラフィ(2D)と同様、乳房を圧迫して行います。
乳房を圧迫した状態で多方向から撮影することで、CTやMRIのように画像をスライス(輪切り)で見ることができる機能です。

2Dを撮影後、続けて3Dを撮影するため圧迫時間は少し長くなってしまいます。
しかし情報量は格段に増え、乳腺の重なりによる病変の見逃しが少なくなります。

<画像例>:左乳がん

2D画像(左)では、構築の乱れ(乳腺の引きつれ)と乳腺濃度の上昇がみられます。

3D画像(右)では、スピキュラ(乳腺の強い引きつれ、毛羽立ち)が明瞭になります。

マンモグラフィ検診施設画像認定について

当院では2台のマンモグラフィ装置において「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得しております。

マンモグラフィ検診施設画像認定とは…

NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構より決められた書類審査・画像評価・線量評価を行い、評価基準を満たした場合のみ取得できる認定です。

診療放射線技師は「検診マンモグラフィ撮影認定」を取得しています。

乳腺超音波検査(エコー検査)

仰向けになり、超音波の伝導をよくするためのゼリーを塗った状態でプローブ(探触子)をあて、乳房内を 観察する検査です。
超音波検査は高濃度乳腺であることが多い若年層の方に適しています。乳房圧迫による痛みや被ばくはありませんので、妊娠中・授乳中の方でも安心して検査を受けることができます。
検査時間は約10~15分程度です。
当院では乳腺超音波検査は全て女性技師が担当していますのでご安心ください。

乳腺超音波検査時注意事項

  • 検査中はネックレスを外してください。ゼリーが付いてしまう可能性があります。
  • ブラトップやスポーツブラなどは着用しないでください。
    乳房を圧迫してしまい、乳房内をうまく観察できない場合があります。

※下記項目に該当する方は事前にお申し出ください※

  • ホルモン剤を服用している方
  • 豊胸術を受けたことがある方(インプラント挿入、脂肪注入やヒアルロン酸注入)

超音波装置

当院では2種類の超音波装置が導入されています。

<画像例>:浸潤がん

Bモード(左)では、辺縁が不整な低エコー腫瘤が認められます。

エラストグラフィ(右)では、腫瘤が青く表示されており、腫瘤が硬いことを表しています

乳房MRI検査

MRIとは、Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像診断装置)の略称です。
強力な磁石でできた筒の中へ入り、磁気の力を利用して画像を撮影します。
撮影中は工事現場のような非常に大きな音が鳴り響きます。
乳房の検査では、ガドリニウム(Gd)造影剤を使用します。
約30~40分程、うつ伏せで撮影します。
乳房の位置や皮膚のヨレによってうまく検査できない事がありますので、検査前に女性技師がポジショニングをします。

※下記項目に該当する方は検査を受けることが出来ません※

  • ペースメーカーを挿入している方
  • 人工内耳、人工中耳の方
  • 材質不明の医療機器を挿入している方(ステント、脳動脈瘤クリップ、骨折等でボルト固定している…など)
  • 妊娠中もしくは妊娠の可能性がある方
  • 気管支喘息、重篤な腎障害(透析を含む)のある方
  • 過去にガドリニウム(Gd)造影剤でアレルギーを起こしたことがある方
    ※CT検査で用いるヨード造影剤とは異なる製剤です。
  • 閉所恐怖症の方

MRI検査時の注意事項

  • 検査室内への金属製品の持ち込みは出来ません。
    (財布、携帯電話、鍵、時計、メガネ、アクセサリーなど)
  • 刺青やアートメイク をされている方は事前にお申し出ください。
    デザイン・色が変わってしまう可能性や、火傷の恐れがあります。
    修復の費用や治療費は自己負担となります。
    ご了承いただいた場合のみ検査を受けることが可能です。
    (誓約書をご記入していただきます。)

<画像例 1>:両側同時乳がん

右乳房:浸潤性乳管がん
はっきりとした境界をもつ不整形の腫瘤が形成されています。
造影剤を使用することで、腫瘤が白く描出されます。(➡︎部分)
拡散強調画像では高信号に描出されます。(部分)
左乳房:非浸潤性乳管がん(DCIS)
乳腺の広い範囲が歪みを生じています。
造影剤を使用することで、歪みを生じている部分が染まります。(➡︎では高信号に描出されます。(部分)

<画像例 2>:浸潤がん

術前化学療法前
はっきりとした境界をもち、スピキュラ(辺縁の強い毛羽立ち)を伴う分葉状の腫瘤が形成されています。(➡︎部分)
術前化学療法後
白く濃染されている部分です。
化学療法により分葉状の腫瘤が消失しました。(➡︎部分)

Q&A

Q1:検診はどれくらいの頻度で受けたらいいですか?

A1:日本では40歳以上の女性に対してマンモグラフィを含む2年に1回の検診が推奨されています。

定期検診を受けることで自覚症状がまったくないときでも、疑わしいものがあればチェックできるので有益です。

出典:日本乳癌学会

Q2:マンモグラフィと超音波、どちらが優れている?

A2:乳がん検診で一番精度が整っているのは、乳房のレントゲン検査であるマンモグラフィです。

※ただし、乳がん検診ではマンモグラフィ単独よりも超音波検査を併用したほうが、乳がんの検出率が良いことがわかっています。
超音波検査単独の場合は、治療の必要がない良性病変を多く拾い上げてしまうこと、悪性を疑う病変を見落としてしまうことがあり、乳がん検診として有効か検討課題となっています。

早期乳がんの兆候である微細な石灰化のような病変は、マンモグラフィでしか発見できません。これは非浸潤がんといって、乳がんが乳腺の中にとどまっている、つまりしこりが触れる前の段階です。
この時点で見つかれば、生存率はほぼ100%と言われています。もうひとつの方法が超音波による検診です。手で触れてもわからない小さなしこりを黒く写し出します。

マンモグラフィと超音波には、お互いに利点、欠点があります。
マンモグラフィは全体像を把握するのに非常によく、細かい石灰化を見つけることもできます。また、精度管理、すなわちどこに行っても同じ条件で受けられる体制が整っています。欠点は、いわゆる授乳の経験がない方や若い方など、乳腺の濃度が高い場合は、雲の中に月が隠れているような状態になってしまい、しこりが見えにくいことです。年齢と授乳により乳腺が衰えて脂肪が増えてくると、しこりを見分けやすくなります。マンモグラフィによる検査が40代以上の人に向くというのはそういう理由です。
その逆が超音波です。利点は乳腺の濃度が高い場合でも、しこりをよく写せることです。ただ、部分的にしか撮ることができないので、見落とす可能性もゼロではなく、細かい石灰化は見付けられません。また現時点ではまだ精度管理されていないため、診断が検査を行う人の経験や技量に左右されがちです。

出典:コニカミノルタ

Q3:妊婦・授乳期の乳がん検診はどうすればよいでしょうか?

A3:妊婦健診をされている先生にご相談されるか、その担当医から専門医を紹介してもらうことをお勧めします。

妊婦の乳腺は、非妊娠状態と異なっているために、診察、検査により病態を把握することは難しいものです。視診による血性乳汁分泌、触診による腫瘤触知は、病変の拾い上げに有効です。一方、画像検査ではマンモグラフィは適用できず、乳腺超音波検査でも相当熟練していないと診断は困難です。人間ドック施設で実施されても結構ですが、限界を感じる場合は妊婦検診をされている先生にご相談されるか、あるいは、その担当医から専門医を紹介してもらうことをお勧めします。

出典:日本人間ドック学会

Q4:乳房を圧迫しないでマンモグラフィはできますか?

A4:立体的で厚い乳房を正しく撮影するために、圧迫する必要があります。

マンモグラフィ撮影では乳房を圧迫板ではさみます。この際に痛みを感じることもありますが、痛みのレベルは個人差があります。これは、診断に必要な良い写真を撮るためには、とても重要なのです。乳房は立体的で厚みもあり、そのまま撮影すると乳腺や脂肪、血管などの重なりで、実際に腫瘍があっても写し出されないことがあります。また圧迫により、放射線の被曝量を少なくするという効果もあります。
正しい撮影をするために、撮影技師がポジショニングを行いますので、どうぞご協力をお願いいたします。また、圧迫板は一定以上の圧力はかけられないように設計されていますので、ご安心ください。ただし、痛みが強い方、皮膚や乳房に炎症や外傷があり圧迫出来ない方につきましては撮影を中止することがあります。

出典:認定NPO法人 乳房健康研究会

Q5:検診を受けて”要精査”という結果でした。
症状がないので大丈夫だと思うのですが、受診したほうがよいのでしょうか?

A5:乳がん検診で「異常あり」といわれた人は医療機関を受診してください。

検診で異常を指摘されても必ずしも乳がんというわけではありませんので、過度に心配することはありません。しかし、「異常なし」の人と比べるとがんの可能性は高いので、精密検査を受ける必要があります。
マンモグラフィの結果でどれくらいがんが疑われるかの指標として「カテゴリー分類」というものはあります。

カテゴリー1異常なし
カテゴリー2良性病変のみ
カテゴリー3 がんを否定できず(がんの確率は5~10%)
カテゴリー4がん疑い(がんの確率は30~50%)
カテゴリー5マンモグラフィ上はがん(がんの確率ははほぼ100%)

出典:一般社団法人 日本乳癌学会