当センターでは、早期発見された消化管(食道、胃、大腸)の早期がんに対する安全・確実な内視鏡治療をテーマに、内視鏡装置を備え、専門的な技術を身につけた内視鏡医が治療にあたっています。
また、日々の診療にとどまらず、積極的に学会・研究会に参加し、患者さまに一番近いところからの情報発信に努めております。消化管内視鏡の分野は、日本が世界をリードする立場ですので、特に貴重な経験は英語論文とすることで、世界中の内視鏡医にも有用な情報として残すように心がけています。
センター長紹介
内視鏡センター センター長小林 勇治(こばやし・ゆうじ)
- 出身大学
- 帝京大学医学部(平成8年卒)
- 専門
- 消化器内視鏡
- 指導医・専門医・認定医
- 日本外科学会認定登録医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
内視鏡部長 太田 英孝(おおた・ひでたか)
- 出身大学
- 宮崎大学医学部(平成13年卒)、自治医科大学大学院消化器疾患学(平成20年卒)
- 専門
- 消化器内視鏡治療、内科全般、消化器疾患、肝臓疾患、漢方治療
- 指導医・専門医・認定医
- 日本消化器内視鏡学会認定 指導医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本東洋医学会認定 漢方専門医
日本内科学会認定 内科認定医
医学博士 - 関連URL
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ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
ESDとは
早期食道がん、胃がん、大腸がんに対する内視鏡治療は以前から広く行われてきました。しかし、スネアー(輪状のワイヤー)を引っ掛けて切除するため、1~2cmまでの小さな病変までしか一括で切除することはできませんでした。
これよりも大きな病変は、外科で開腹手術を行うのが一般的で、内視鏡で切除してもバラバラの断片としてしか切除できず、取り残しや再発を起こしたり、病理組織検査(顕微鏡による細胞の検査)が不十分なものとなり、治癒の判定が不確実になっていました。
しかし、専用の処置具(内視鏡用の電気メス)が開発され、粘膜をはがしていく(剥離する)方法で、より大きな病変も一括で切除することが可能となり、取り残しや再発が少なくなりました。
この方法が、ESDです。
ESDで治療可能な消化管がん
消化管の粘膜(壁)は、胃・大腸では、図1のように4層構造で、食道は漿膜(しょうまく)がないため3層構造となっています。
がんは、粘膜層(1層目)の表面に発生し、だんだんと粘膜下層(2層目)、筋層(3層目)に浸潤していきます。
★基本的に粘膜層(1層目)にとどまっているがん(下記の条件を満たすもの)であれば、大きさに関わらず転移している可能性がほとんどゼロであるため、いくら大きくてもESDで切除することができます。
★以下の条件を満たすもの
- 食道がん:粘膜層(1層目)の上部2/3までに存在する場合
- 胃がん:(1)分化型腺がんで、潰瘍(-)である場合
(2)分化型腺がんで、潰瘍(+)である場合には、3cm以下
(3)分化型腺がんで、粘膜下層(2層目)に0.5mm以内の浸潤が見られる場合には3cm以下 - 大腸がん:粘膜下層(2層目)に1mm以内の浸潤まで
ESDの方法
まず、局注液を粘膜下層(2層目)に注入してから、病変の周囲に切れ目を入れ、粘膜下層(2層目)の深い部分で剥離していきます
よって、粘膜層(1層目)に存在するがんは、粘膜下層(2層目)とともに切除することができます。
ESD写真1
胃体小弯主体に広範囲に広がる直径10cm強の病変、わずかな隆起で、通常観察で病変を特定するのは困難
ESD写真2
色素散布することで、病変は明瞭となる
ESD写真3
剥離後の潰瘍
ESD写真4
切除標本(直径13cm)、粘膜内(1層目にとどまる)高分化型腺がんで、完全切除されていた。
むすびに
ESDで治療できるのは早期のがんだけで、それらはまず症状を起こすことがありません。内視鏡で治療できるがんを見つけるためには、症状が出てからの検査では遅いのです。
40歳をすぎたら、ぜひヘルスパーククリニックの人間ドックによる内視鏡検査をお受けになることをおすすめいたします。
内視鏡装置のご紹介
EVIS LUCERA イーヴィスルセラ(オリンパス社製)
Advancia アドバンシア(フジフィルム社製)
通常の内視鏡光観察に加え、
- 分光内視鏡画像処理(FICE:フジフィルム)
- 狭帯域光観察(NBI:オリンパス)
これらの装置を使用して食道、胃、十二指腸、大腸などの内視鏡検査・治療を行い、粘膜表層の毛細血管やわずかな粘膜の肥厚、深部血管の異変の観察・発見を行っています。
上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸)
EG-530N2、外径5.9mm(フジフィルム社製)
高画質なスーパーCCDを搭載したEG-530N2、外径5.9mmの電子スコープです。経鼻・経口ともに、負担の少ない細径タイプのスコープで実施しています。
GIF XP260NS
スコープの外形が5.8mmの経鼻内視鏡検査のスコープです。極細タイプのスコープですが経口での内視鏡も可能です。
下部消化管内視鏡検査(大腸)
CF-Q260AI、PCF-Q260AI(オリンパス社製)
高解像度CCDを搭載され高画質の電子スコープを使用しています。挿入性に優れた細径タイプのスコープであり、スコープ自体のしなやかさを4段階に調整ができる硬度可変機能がついています。ご利用者さまの大腸の状態により調整しながら検査を行うことができます。
なお、これらの電子スコープと分光内視鏡画像処理(FICE)、狭帯域光観察(NBI)を組み合わせて行うことで、より精密に検査・治療を行っております。(分光内視鏡画像処理(色調をデジタル処理した画像)により病変部と正常部分の境界を明瞭にします)
PCF Q260J
主に処置をする際に使用します。φ10.5mmの細径スコープは操作性に優れ、出血部位の視野を確保するウォータージェット機能があります。
GIF H260Z
ハイビジョン対応CCDと光学85倍ズーム機能により、クリアで高精細な拡大観察が可能で、内視鏡的処置や手術、又は早期がんの診断の際に使用します。
GIF Q260J
主に処置をする際に使用します。特徴は胃の粘液や出血部位の視野を確保するウォータージェット機能があります。